審判が下りました。
概略は次の様になります。
寄与分は550万円。
遺産は単独取得とする。
代償として相手方に168万円ずつ支払え。
考え方
1.不動産は不動産鑑定士による鑑定額1210万円。
2.不動産の使用借権を1割として差引、1089万円。
3.遺産は現金を加え1100万円。
3.寄与分は1050万円。
内訳
a.自宅改造費用 ○ 金額の50%
b.介護保険料・後期高齢者医療保険料 ○ 金額の50%
c.デイサービス費用 ○ 金額の50%
d.入院費用 ○ 金額の50%
e.葬儀費用 ×
f.通路築造による不動産価値上昇 ○ 不動産鑑定士の鑑定額
g.土地の登記測量費用 ×
h.固定資産税 × 不当利得返還請求権が有る
i.療養看護 ○ 療養看護報酬額の60%
4.遺留分は遺産の1/2 よって寄与分は1/2を超えられないので遺産の1/2の550万円となる。
5.不動産は分割時の価格になるので遺産は1008万円となる。
問題点
遺留分と寄与分のどちらが優先するか民法に規定は無い。判例もない。
しかし、審判は遺留分を1/2として当然のように優先させてしまった。
これは、遺産の価値を相続人の一人がお金をかけて上昇させると、遺留分の額も上昇し、
他の相続人は労せずして取り分が増えるということになる。
というわけで、これはもう法律論になってしまうなぁと考え、これから先は弁護士に依頼することにしました。
さて、普段リフォーム工事を請け負っているわけですが、相続のことまで考えてません。依頼される
お客さまもそうでしょう。ですが、実際こういうことは数多くあるはずです。リフォームをお考えの
方はこういう事も考慮された方がいいでしょう。こちらからは、こんな話は切り出せませんから。(^^;
う〜む・・・。単純に、なぜ寄与分は遺産の1/2しか認められないのか?
が最も不可解ですね。
逆を返すと、介護の途中で遺産を想定して最大の1/2を超えたところで
介護打ち切り? 遺留分主張者に共同請求しなかったのが落ち度と言うことですか?
納得できませんな。
私が判定するなら、徹底的に寄与分とされる費用の信憑性、妥当性を第三者に委託判断し
その上で法にのっとった遺留分を認めるとしますけどね。
単純に、遺留分が1/2なら残りは1/2しかないので、寄与分は最大で1/2となっ
てしまうということです。
おっしゃる通り、「介護を途中で打ち切り」なんて話になりますよね。介護
する方が馬鹿って法なんですか?ってことです。
最後の部分もまさしくその通りなんです。判例でもそういう風に書かれてい
るのがあります。ところがそれを運用する方は、遺留分が優先と読んでしまう
のですから不思議なものです。
そうか〜。改めて再度勉強した上で見直してみました。
遺留分は全相続者分の最低保証金額と言う
位置づけから、遺産の1/2を保証とするというわけですね。
民法上、こちらの方が昔からあり、寄与分は不公平感緩和のために新たに設けられた
物と言う考えですね。
遺留分は遺言書よりも強いようですので、いわゆる最低限の権利主張。
それに対し、寄与分はどちらかと言うとご苦労手当て的な要素が強いと言う判断ですか。
さて、ではその元となる不動産価格。実勢価格が最も納得でしょうから
やはり競売か?
接道させたのは価値を高める結果ではあるものの、接道によって評価UPしたのなら
それに掛かった費用は最低寄与分として100%認めるべきですね。
ここからの1/2寄与分としてとすると遺留分は85万ずつ と言うのが自然に思います。
勉強されたのですか!なんと熱心な。
人の子である以上、何時かは相続という出来事が起こりますから、
きっと役に立つ時が…
さて、遺留分ですが、通常は贈与、遺贈に対してのみ言えるものです。
つまり、財産を与えるだけで、対価を受け取っていない場合です。
ですから遺言書に「○○に全財産を与える」と書かれていても遺留分を
取り戻せるという事です。
でも寄与分は、金品や介護などのサービスを受け取ったことに対する
対価の後払い的なものです。それも通常期待される以上のことをしないと
寄与分となりません。
にもかかわらず、遺留分の1/2が優先するのはおかしいだろう。というのが
こちらの考えです。
こちらのウェブサイトが参考になります。
http://kakehashilaw.jp/example/isan_31.html
ここに載っている判例の最初の2行をどう考えるのかです。